土地売却

土地売却の流れ

「使わない土地を売却したいが売り方が分からない」「相続した土地を売りたいけれど、古い家が建っている」など、不要な土地の売り方に悩みを抱えている方や、土地売却が初めての方にとっては不安なことがいろいろあるかと思います。
土地売却をスムーズに進めるには、基本的な流れを押さえておくことが大切です。土地売却の流れは、大きく8つのステップに分けられます。
土地売却の全体の流れを各項目にわけて順に解説していきます。


 

STEP1土地売却の事前準備

事前準備として、「希望条件の整理」「相場の確認」「境界線の確認」を行います。まず、希望条件を整理します。ローンの残債がある人は、どのくらいローンが残っているかを確認します。そのうえで、いつごろまでに売却したいかを考えておきます。
次に、土地の境界線を調べます。土地や一戸建て付きの土地を売買する際は、原則として自分の土地はどの範囲までか境界を明示する必要があります。境界線がはっきりしていないと、隣地の所有者とトラブルの原因になる恐れがあるためです。
境界線を明示するためには、隣接地との境界線を確定することが最も適切です。境界を確定するには「確定測量図」を用意します。確定測量図に似た図面に「地積測量図」という土地面積が分かるものもあります。
しかし、こちらの古い地積測量図は一般的に境界線が確定されていないものが多いため、土地売却の際は確定測量図を用意するのが理想的です。ほとんどの場合、買主様が購入の条件として確定測量図も引き渡すことを求めてきます。
この書類が手元にない場合は、早めに土地の測量を土地家屋調査士に依頼し、図面を作成しておきます。
また、確定測量図のほか、売却にはほかの書類が必要になります。
 

土地売却に必要な書類

なお、親から相続した土地の場合は、所有者の名義を明確にするために、売却前に登記簿謄本の名義変更が必要です。

 

STEP2土地を査定します

査定依頼を出し査定を受けます。
査定は、土地を直接訪れ、土地の状態や周辺環境などをチェックして査定する訪問査定となります。
訪問査定にかかる時間は土地の大きさにもよりますが、更地であれば30分程度です。
建物の建っている土地や広い土地の場合は、1時間以上かかる場合もあります。
土地の査定の難易度にもよりますが、訪問査定を受けてから通常約1週間ほどで査定書をお届けします。
査定結果が出てきたら売却の依頼をします。

 

STEP3売出し価格を決めます

三煌社と媒介契約を結んだ後、売り出し価格を決定します。
※場合によってはステップ3と前後する場合があります。
土地をいくらで売り出すのが良いのか、査定の結果を参考にし、価格を設定します。

 

STEP4媒介契約の種類

土地の価格が決まったら、媒介契約を結びます。
媒介契約とは不動産会社に仲介を依頼する際に結ぶ契約のことです。媒介契約を結ぶと本格的に売却活動が始まります。
 

不動産の媒介契約の種類

不動産の媒介契約は3種類あります。「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」となり、それぞれの特徴は以下の通りです。

媒介契約特徴

専任媒介契約 専属専任媒介契約 一般媒介契約
複数業者との契約 × ×
明示型:他社へ依頼したことを通知する
非明示型:他社へ依頼したことを通知しない
自己発見取引 ×
契約の有効期間 3か月以内 3か月以内 指定なし
指定流通機構への登録 契約締結から7日以内に登録 契約締結から5日以内に登録 任意
業務状況の報告義務 2週間に1回以上 1週間に1回以上 任意

 

STEP5土地の売却活動

媒介契約が済んだら、いよいよ売却活動が始まります。
売却活動が始まったら、売主様がすることは現地見学の対応です。
現地見学の準備を行います。
土地情報の告知を始めたら、購入希望者から現地見学の希望がきます。
事前準備として、土地の雑草を抜いたり、不要なものを撤去したりと、土地をきれいに見栄えよくしておきます。
また、土地の現地見学に立ち会う場合は、ご自身の土地に関する状況や周辺には何があるのか、近隣との取り決めの有無などを確認しまとめておくことをおすすめします。

 

STEP6土地の売買契約を結びます

土地を買いたいと申し出る買主様から、不動産会社を経由して書面で正式な購入申し込みがあります。
売主様買主様双方が取引の条件に納得の上、売買契約を締結します。

 

STEP7決済・引渡し

売買契約を結んだ後、売主様は引渡しの準備をします。通常、土地の売買では土地の正確な測量と隣接する土地との境界を明確にする筆界確認をした「確定測量図」が必要になります。契約までに確定測量が済んでいなかった場合は、引き渡しまでに行います。
これらの準備が整えば、いよいよ買主様に土地を引き渡します。
土地の引き渡し当日には、売買代金の授受や固定資産税など金銭の清算を行います。この金銭の授受や清算することを決済といいます。
代金などを受け取った後、売主様は買主様に必要な書類を渡します。
決済と書類等の引き渡しが完了したら、通常はその日のうちに土地の名義を買主様名義へ変更(所有権移転登記)を行います。

 

STEP8確定申告をします

土地を売却したら、翌年には確定申告を行います。土地を売って得た譲渡所得がある場合は、必ず確定申告をして納税します。
また、一定の要件を満たすと節税特例を利用できる場合があり、確定申告を行うことで節税できることもあります。
確定申告をする際は、測量費や解体費用、仲介手数料をはじめ、売却にかかった費用を経費として計上できますので、領収書をとっておきます。
確定申告を行うのは土地を売却した翌年の原則として2月16日~3月15日までの間です。
 

土地売却にかかる費用や税金

土地を売却するにあたっては一定の費用がかかるほかに、売却後に課せられる税金もあります。ここからは土地売却に必要な費用と税金について見ていきます。
 

手順1

売却にかかる諸費用

土地を売却するまでにかかる諸費用の目安は以下の通りです。

経費 費用の目安 費用の内容
解体費用 150万円前後(建物によって異なる) 建物が建っている場合の取り壊し費用
測量費用 40~50万円 土地の地積測量図、境界確認書面を作成する際に土地家屋調査士に支払う費用
仲介手数料 取引物件価格×3%+6万円+消費税 仲介してくれた不動産会社に支払う手数料(取引額が400万円超の場合)
繰り上げ返済手数料 5千~3万円前後 残っているローンを一括返済する際に金融機関に支払う手数料

なお、仲介手数料の上限は法令で定められており、取引額が400万円超の場合は原則として
「取引物件価格×3%+6万円+消費税」以上の手数料がかかることはありません。
 

手順2

売却にかかる税金

土地を売却する場合、売却時、そして売却後にかかる税金がいくつかあります。

税金 税金の目安 費用の内容
抵当権抹消の登録免許税 不動産1件につき1,000円 ローンの抵当権を抹消するときに支払う税金
譲渡所得に課せられる税金 売却益の20~40%程度 土地の売却で利益が出た場合に支払う所得税と住民税

印紙税と抵当権抹消の登録免許税は、売却する際にかかる税金です。抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合は、その報酬も必要になります。報酬は司法書士により異なります。
売却によって利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税と住民税を支払うことになります。
譲渡所得には「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」という2つの区分があり、それぞれ税率が異なります。
長期譲渡所得とは、5年を超える長期間所有していた不動産を売却した際の所得のことで、所得にかかる税率は20.315%です。一方の短期譲渡所得は、所有期間5年以下の不動産を売却した際の所得のことで、税率は39.63%となります。売却のタイミングによって税率に差があります。
 

手順3

土地売却にかかる税金を節税するには?

土地売却には税金がかかる場合がありますが、要件を満たせば控除を受けられます。

住んでいた建物を取り壊して土地を売却した場合

この場合は、「3,000万円の特別控除」を受けられます。3,000万円の特別控除とは、要件を満たしている場合、譲渡所得から最高で3,000万円が控除されるというものです。
土地と建物の所有が10年を超える場合は、「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」も併用可能です。
ただし、3,000万円の特別控除はマイホームを売却したときに受けられるもので、土地のみの売却には適用されませんのでご注意ください。

相続した空き家を取り壊して土地を売却した場合

この場合は、「相続空き家の3,000万円特別控除」を受けられます。相続空き家の3,000万円特別控除とは、3,000万円の特別控除と同様に、要件を満たしている場合、譲渡所得から最高3,000万円が控除されるというものです。
ほかに、使われていない土地を500万円以下で売却した場合に受けられる控除(低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除)もありましたが、令和4年(2022年)末までで終了しているので注意が必要です。
不動産を売却する際は、成約価格によって配偶者控除の扶養から外れることがあります。配偶者控除とは、扶養に入っている配偶者がいる納税者は、一定の金額の所得控除が受けられるというものです。ご自分が要件を満たしているかをご確認ください。
 

土地売却のパターンと注意点

土地の売却といっても、売却したい土地がどのような状態かによって方法が異なります。
土地売却によくあるパターンとその特徴、そして注意点を解説します。
 

家が建っている土地を売却する

築年数が相当に古い一戸建ての住まいが建っている土地の場合は、一般的に「古家付き(ふるやつき)土地」と呼びます。この場合、売却には2つの方法があります。1つは古家付きのまま売却する方法、もう1つは更地にして売却する方法です。

古家付き土地のまま売却する

こちらの方法には、土地にかかる固定資産税を抑えられるというメリットがあります。住宅が建っている場合、減税措置が適用され、土地分の固定資産税を抑えたまま売却できるためです。この方法は、更地に比べると売却に時間がかかることがありますが、減税措置が適用されるため、結果的にコストを抑えることにつながる可能性があります。
また、古家付き土地のまま売却すれば、売主様は解体費用を負担する必要がありません。なお、木造一戸建ての
取り壊し費用は一般的に150万円前後かかります。

更地にして売却する

こちらは、建物を取り壊し更地にして売る方法です。更地の土地の場合は、相場価格で売却できる可能性が高まります。買主様がすぐに家を建てられる状態なので、売却しやすいためです。そのため、売却期間は古家付き土地に比べて短くなるのが一般的です。
また、更地であれば、売れるまでの間、駐車場として土地を運用し、その運用利益で固定資産税の負担を軽くすることもできます。ただし、先ほどご紹介した3,000万円特別控除を利用する場合には、土地を貸してしまうと特例を利用できなくなるので、注意が必要です。
加えて、更地にして売却する場合、家の解体費用は売主様が負担することになります。解体した後、買主様がすぐ決まらなければ、家が建っている状態よりも土地の固定資産税が高くなります。
また、更地にする前に、建物を解体しても問題のない土地かどうかの確認が必要になります。時折、建築基準法上で再建築不可と定められた土地があり、そうした土地の場合は、更地にしてもそこに新しい建物を建てることができません。
具体的には、幅員4m以上の道路に2m以上接していない土地の場合、消防車や救急車が入れないため、家を建てられないように建築基準法で定められています。なお、再建築不可物件は、都市計画区域と準都市計画区域内に限定されています。
再建築不可の土地に既存の建物がある場合、増築は認められませんが、リフォームして売却する、あるいは更地にして建築不可ということを条件に売却する方法があります。更地にする前に、自治体で再建築不可の土地か否かをご確認ください。
 

相続した土地を売却する

相続した土地を売る場合は、まず名義変更が必要です。相続は原則として相続人の共有状態で引き継がれるため、名義が被相続人のままだと誰が所有者なのか第三者には分かりません。所有者は、登記簿と呼ばれる「登記事項証明書」に記載することで第三者に明らかにすることができます。
そのため、たとえ親から土地を相続しても、実際は所有者の名義を変更しない限り、土地を売却することはできません。相続した不動産を売却したい場合は、まず相続登記を済ませておく必要があります。
相続手続きには、戸籍謄本、除籍謄本、住民票などが必要です。
さらに、相続した土地を売却する際に利用できる「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」があります。これは、相続した財産を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる制度で、税金を軽減することができます。特例を受けるための要件は以下の3点です。

特例要件

この特例を受けるためには確定申告が必要になりますので、事前に必要な書類をご確認ください。
 

共有名義の土地を売却する

土地を何名かで共有している場合は、まず「持分割合」を確認することが必要です。持分割合とは、土地の所有権の割合を意味します。持分割合は、法務局で取得できる土地の登記事項証明書に記載されています。
法務局での手続きで取得することができますので、事前にご確認ください。共有名義の土地の売却には、3つの方法があります。

持分の土地を売却する

ご自分が持っている土地の分だけを売却する方法です。ただし、分割された持分だけを買う人は少ないため、共有者同士の間で売買することが一般的です。

分筆して売却する

ご自分が持っている土地の分だけを売却する方法です。ただし、分割された持分だけを買う人は少ないため、共有者同士の間で売買することが一般的です。

分筆して売却する

共有している土地を複数に「分筆」して売却する方法です。分筆とは、1つの土地を持分割合に応じて分けることを指します。分筆すると、単独の名義が複数できて、共有状態ではなくなるため、ご自分の持分の土地だけを売却することが可能になります。

共有者の同意を得て売却する

共有している土地を共有者全員の同意によって売却する方法です。全員が売却に関して同意している場合、共有者全員が売主様になります。売却が決定し、実際に契約する際は、全員の同席と実印の押印が必要になります。
売却した金額は、持分割合に応じて受け取ることができます。
 

農地や山林を売却する

農地は、国の政策の一環であるため、勝手に売却できません。売却する際は、まず農業委員会に農地の種類を確認し、売却に許可を要するかどうかを知る必要があります。売却できるようであれば、許可をもらいます。
また、農地を宅地へ変える場合、許可が必要なケースと届け出だけで認められるケースがあります。売却が可能か、また宅地へ転用することができるかも合わせてご確認ください。
 

賃貸中の土地を売却する

貸している土地を売却する場合は、借地人が立ち退いた後に売却する、あるいは借地した状態の土地をそのまま売却する、という2つの方法があります。ただし、賃貸借契約(借地契約)の種類によって、注意点が異なってきます。
「定期借地契約」の場合は、期限が来ると、土地を更地にして返してもらえるため、立ち退いた後に売却することができます。「普通借地契約」の場合は、借地人(土地を借りている人)の合意がなければ、借地契約を解約できません。土地所有者の一方的な理由で解約することは実質的には不可能です。
ただし、普通借地契約が設定された土地であっても、そのまま売却することは可能です。
借地状態の土地についてはまずはご相談ください。
 

スムーズに土地売却を進める

スムーズに土地売却を進めるためにしておきたい事前準備についてお伝えします。
 

土地をきれいに整える

更地や空き家は長い間手入れをしていない場合、雑草が生えたり、建物が老朽化したり、ごみを捨てられたりする恐れがあります。
査定や購入希望者の見学の際には、できるだけよい印象を持ってもらえるよう、土地をきれいに手入れしておきます。
 

土地の売却で困ったときのアドバイス

媒介契約を結び、土地売却の活動をスタートしても、売却がうまく進まないこともあります。また、自分の土地は売れるのか不安もあるかと思います。ここからは、土地売却に関するよくある疑問にお答えします。
 

ローン残債がある土地の場合は?

ローン返済が残っている土地でも売却は可能です。しかし抵当権が付いたままの状態では第三者に売却することはできません。そのため、売却時に住宅ローンの残債がある状態で不動産売却をする場合には、取引価格で残債を一括返済し、同時に抵当権を抹消することが必要です。
売却資金から返済できればよいですが、残債より取引価格が低いと自己資金を用意しなければならないこともあります。土地がどれくらいの値段で売れるのか、残債がいくらなのか、自己資金が必要なのかなど資金計画は明確にしておく必要があります。
また、古家付きのまま売るか、更地にしてから売却するか、ご自分に合った売却方法がよく分からない場合はお気軽にご相談ください。土地の査定をさせていただきます。